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東京から広島へ。1日20-25キロの行程を歩いているWALKの「巡礼日誌」です。
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上関ブランチウォーク、光→新南陽  
 
上関には呼ばれたんだと思う。長崎には今世紀中に到着したいこともあって、毎日30km以上の行程、レストデイもあまりとれない。そして最短ルートであるメイン国道を通るということで歩き始めたのだが、2日目の12/15には国道2号線をそれて、海沿いの道を下り始めた。宿泊地がなかなか見つからず、柳井市、光市となったことで、瀬戸内沿いのルートとなった。景色はいいが、20km位は遠回りになる。その1日目の宿泊地から、南に突き出している半島の橋でつながる島の先端が、上関原発建設予定地であった。


広島から出発する朝、山口県在住のナカちゃんから上岡原発の話を聞かされたが、前述したように、日程的に余裕がないこともあって、具体的な何かが出来るとは思えなかったし、ロケーションすらも頭の中には入っていなかった。広島より参加したひょうこまのナオが、柳井から上関はスグだという話を持ち出して、改めて地図で確認すると、一日で歩いて行ける距離ではないか。浜岡の時は大鹿村からボブさんと聖夜がブランチウォークで合流したが、上関には二手に分かれてブランチウォークを出そうという話になった。光市に向かう時、一瞬海面にオレンヂ色の光の輪が雲間から降ってきて、瞬時に消えた。その直後、光市に入ったとたん「原発反対宣言、光市」という看板が目に飛び込んだ。山口県内オーガナイザーの源の助さんから、原発に反対する運動を続けている人に急遽連絡を取ってもらい、詳しい話を聞かせてもられるようお願いした。そして柳井市の小石川さんと、上関の反原発の会の会長で、町長選にも2度出馬した河本さんが来てくれた。19年にわたる話を聞きながら、ここもビッグマウンテンと同じだと思った。小さな平和なコミュニティに持ち込まれた、巨大なお金にまつわる話。「上関方式」と後に呼ばれた、中国電力による地元議員に対する徹底した飲食、旅行の接待攻勢。そして近所、親戚は勿論、家族内部にも対立し合う構図が生まれた。町を分ける目に見えない有刺鉄線ーー。町長選の時には、中電社員による架空住民転入が大問題となった。広島に向かうこのウォークが立ち寄った、東海地震による大事故が懸念される浜岡原発では、現在稼働中の原発を止めようという祈りが捧げられたが、ここ上関は、ここが止まればもうこれ以上日本に原発が建設されないかも知れないという意味において、とても重要な所である。フォロー・ザ・パイプ、スピリチュアル・ムーブのこのピースウォークが、グレイトスピリットの導き、パイプの導きで、この地の神様とつながったんだと思った。


翌日は朝から雨。浜岡の時と同じ、浄化の雨。祈りを届ける僕たちとその場所を、天が浄めてくれる。僕はサポートカーでフォローしたが、メインウォークにボブさん一人歩いてもらい、残る全員でブランチを歩いた。まずはこの目とこの足で、その大地を感じよう。虹の旗を先頭に、パイプ、2本のセイクレッドランのスタッフ、ロバート(スティード)さんのスタッフ、最後尾をアースフラッグが続く。虹に導かれ、両翼を広げ、大空を羽ばたくイーグル・ウォーク。ボブさんのインスピレーションで、広島以降は「レインボー・イーグル・ウォーク」と命名された。一つのウォークとなり、一つの祈りで、ただ黙って上関を目指す。小型クジラのスナメリの子育ての海、新種・希少種の貝の生育地、真鯛の宝庫、ハヤブサの繁殖地。乳なる海、母なる海、瀬戸内に残された最後の聖域。その予定地の海岸は、透き通った美しい海。目の前の祝島(いわいじま)には、鯛漁で暮らす漁師の家々がはっきり見える。ただ一つの人造物、有刺鉄線の囲いの中からは、3つの異様なスピーカーが、ひっきりなしにまわり中に不快な音波を飛ばしている。案内してくれたガードマンに尋ねると「企業秘密」と冗談風に答えるが、まわりの空気を察してか、すぐさま大気の濃度を測定しているのだと言う。「希少な鳥や生き物が近づかないようにしているんじゃないか」とか、「回りの住民を洗脳しているのでは」という疑問が、口々について出る。


砂浜に降りてサークルを組み、その真ん中にヒロシマの火を置く。人のこころの間違いを、まわりのいのちに詫びて、皆で祈りを捧げる。ここの祈りを長崎まで運ぼう。もうこれ以上、核による被害がまわりのいのちに及ばないように。 スナメリ、ハヤブサ、カラスバト、ナガシマツボ、シュジュコミミガイ、……コドモタチ。(はる)



上関の町はひっそりと心を閉ざしていた。雨に打たれ、波の音を聞き、鳥達の舞い踊るのをながめながら、この美しい自然の息吹が巨大な矛盾「原発」によって寸断されようとしている、と思うと・・・静かな怒りが涙とともに湧き上がってきた。


ぼくらを出迎えたのはトンビたちとさんざめく木々から落ちる雨滴の拍手だった。太った雇われガードマンは、愚かしくもしかし人の好さそうな笑顔で「仕事」「しごと」「シゴト」と言って、明らかに、札束にしっぽを振っていた。中国電力の新品のプラスチックの住宅の群が無表情に、背を向けて立っていた。いかにも旨そうな、高そうな料亭が媚びを売って並んでいた。ぼくのスガ目には、何もかもが空しくうつる。にかわ景気に酔っているうちに人々は魂を売り渡してしまったのだ。


自然は悲しいぐらいに美しく、すべてを許し続けていた。スナメリの子供らがスヤスヤ眠るこの母の子宮のような入り江を、人間という化け物のシンボルが、犯そうとしている。これは強姦にちがいなく・・。その強引な電力会社の巧妙なる洗脳・宣伝の下品さには、ただただ呆れるばかり。くたびれ果てたぼくらは、帰る車の中でFM放送を聞いていた。ユーミンは恋を売りものにしていた。スポンサーは中国電力だ。そしてこう言っていた「地球環境にやさしい中国電力です」と。バッカヤロ。(谷口マサ)

 
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